公開: 2023年10月4日
更新: 2023年10月9日
現在まで伝わっている神話の多くでは、神々には永遠の生命が保証されています。しかし、人間にはそのような永遠の生命の保証はなく、いつかは生命の終わりが来るとされています。インドネシアに伝わる神話では、それは昔の人間が、食べ物を生み出す人間を殺したため、殺した人の死体から発生した穀物などの食べ物を食べ、死ななければならなくなったとされているそうです。
人間は、生きている動物を捕らえて殺し、その死体を食べなければ生きてゆけません。または、野に生えている植物を食べて、生きてゆかなければなりません。そのような人間と食べ物との関係から、上に述べたような神話が生まれたのでしょう。人間が食べるものの中には、場合によっては、人間自身が含まれる例もあり、インドネシアには、食人の風習が残る地域もあるそうです。しかし、そのような食人の例は、例外的な風習で、多くの社会では、食人はタブーとされています。
人間の死を、「神のみ」に与えられた権利とし、他人の命を取ってはならないとする思想は、一神教のユダヤ教に始まったものです。古代の社会でも、自分より下の階層に属する人の命を取ることは、自由とは言えなくても、不可能ではありませんでした。例えば、自分の奴隷を殺すことは、法律上は可能でした。ユダヤ教では、そのような「奴隷を殺す」と言うような行為も、「人間の命を取る」という意味から、「神は禁じている」とされるようになりました。
このユダヤ教の教えが明示されてから、キリスト教もイスラム教も、「人を殺してはならない」と言う原則を踏襲するようになりました。